神様の罰の話をした後はおっきな神様の像の近くまで行ってみんなでほえ〜って言いながら見てたんだんだ。
けど、お父さんが、
「いつまでも見てるわけにもいかないし、そろそろ行くか」
って言ったもんだから、僕はてっきりみんなでビシュナ様の像にお祈りしてる人たちの列に並ぶんだって思ってたんだよね。
ところが、お父さんはその列を無視して違う方へ行こうとしたもんだから、僕はびっくり。
「あれ? お父さん、僕たちはお祈りしなくていいの?」
「ああ。俺たちは神殿でお祈りするつもりだからいいんだ」
「ルディーン。あの人たちはね、イーノックカウに住んでいて毎日お祈りに来てる人たちなのよ」
おっきな神様の像の前でみんながお祈りしてるけど でもあれって奥の神殿とか大聖堂だともっといっぱいの人がお祈りしてて時間がかかっちゃうから、毎日来てる人はここでお祈りして帰るようにしてるそうなんだ。
なんでかって言うとね、そうしないとお仕事とかに間に合わないし、いっつも来てる人まで神殿や大聖堂に行っちゃうと遠くから来てる人がお祈りできなくって困っちゃうからなんだってさ。
「そっか。じゃあ僕たちは神殿でお祈りするの?」
「いや、今日はみんなで来てるからな、奮発して大聖堂でお祈りをしようと思ってる」
このイーノックカウ大神殿はね、ビシュナ様とイドラ様、それにラクシュナ様の大きな神殿と、もっと位の低い神様のちっちゃな神殿がいくつかあるんだよ。
でね、その神殿はビシュナ様たちのおっきな神殿もその他の神様のちっちゃな神殿も、全部タダでお祈りができるんだって。
でもここにはもう一つ、ビシュナ様を祭った建物があるんだ。
それがイーノックカウ大聖堂。
そこは特別の場所だから入るだけでもお布施がいるし、そこでお祈りしようと思ってらそれにもお布施がいるんだってさ。
「大聖堂、楽しみだね」
「やっぱり、キラキラとかしてるのかなぁ?」
お金がいる分だけ大聖堂は神殿よりすっごく豪華なんだよってお父さんが言ったもんだから、レーア姉ちゃんとキャリーナ姉ちゃんはどんなとこなんだろう? って大騒ぎ。
それに僕やお兄ちゃんたちも、特別な場所なんだからきっとすごいとこなんだろうねってわくわくしながら大聖堂に向かたんだ。
おっきな3体の像を越えてイーノックカウ大神殿のお庭を進んでくと、そこには中央神殿があるんだよ。
でもね、神殿て行ってもここはお祈りをするとこじゃなくって、イーノックカウ大神殿の案内所みたいなとこなんだ。
だからここに入ると冒険者ギルドみたいにカウンターが並んでて、そこには治癒魔法でお怪我やご病気を治してもらうための受付や、見習い神官を一時的に貸し出してくださいってお願いする受付、それに特別な儀式をしてもらえるようにお願いする受付とかが、いっぱいあって、神官さんたちが並んでる人の相手をしてたんだよね。
「おっ、どうやら大聖堂の受付はあそこのカウンターみたいだな」
そんな忙しそうな神官さんたちを見てたら、お父さんが一つのカウンターを指さしながらそう言ったんだよね。
だから僕はそっちの方を見て見たんだけど、そしたらそこには他のとこよりもちょっと豪華なカウンターがあって、その上には大聖堂受付って書いてある看板がぶら下がってたんだけど、
「お母さん。あんまり人、並んでないよ」
でもそのカウンターの前には、ほとんど人がいなかったんだ。
だから、なんで? ってお母さんに聞いたんだけど、そしたらここは大聖堂でお祈りをする人が申し込むとこだからなんだって。
「中に入るだけなら入口でお金を払えばいいし、それに大聖堂でお祈りをするための料金もそんなに安くないから、それほど多くの人は並んでないでしょうね」
「そんなにいっぱいお金がいるの?」
「いっぱいって程じゃないけど、人数が多いと、ちょっと躊躇するかもね」
大聖堂って、入るのに銀貨が1枚いるそうなんだよね。
うちの家族だと、それだけで銀貨7枚いるでしょ? それだけでも結構するのに、お祈りするにはなんと、それとは別に一人銀貨が5枚もいるんだってさ。
「じゃあみんなで、4200セントもいるの!?」
前の世界で言うと、みんなでお祈りするのに大体4万2千円くらいかかるって事だよね?
まさかそんなにするなんて思ってなかったから、僕、びっくりしちゃったんだ。
でも、お父さんは別の事にびっくりしたみたい。
「ルディーン。お前、そんなに早く計算できたのか?」
お父さんも計算ができない訳じゃないけど、そんなに早くは答えが出せないんだって。
なのに僕が話を聞いてる途中で急にこんなこと言ったからびっくりしたみたい。
でもね、
「あら。ルディーンならそれくらいできてもおかしくはないでしょ?」
お母さんはそう言ってニコニコしてるだけなんだ。
だからなんでだろう? って思ったら、ディック兄ちゃんがお母さんも僕とおんなじで計算が得意だからなんだよって教えてくれたんだ。
「まぁ、確かにルディーンならそれくらいの計算ができてもおかしくないか」
「そうよ。この子は文字だって、すらすらと読めるのよ? 私でもできるこの程度の計算なら、できたからと言っても驚くほどじゃないでしょ」
村だとあんまりも字を読んだり書いたりすることが無いでしょ? だから中にはほとんど読めない人もいるんだよね。
そりゃあお父さんやお母さんは街に出てくることがあるから、簡単な文字なら読むとも書くこともできるよ?
でも僕みたいに村の図書室から本を借りてきて読んだりするほど、すらすらと読むことができないんだ。
だからかなぁ? そんな話をしてたお母さんは、僕の頭をなでながら急にこんなことを言い出したんだよね。
「ルディーンはその他にもいろいろできる事があるし、将来はうちの中で一番出世するでしょうね」
「確かになぁ。俺としてはやっぱり狩人になってほしいと思うけど、将来は帝都にある学校とか言うのに行ってお貴族様に使える偉い騎士とかになっているかもな」
おまけにお父さんまでこんなこと、言いだしたんだもん。
だから僕、びっくりして言ったんだ。
「偉い騎士様なんかにならないよ! だって僕、お兄ちゃんやお姉ちゃんたちといっしょがいいもん。だから街の学校なんて行かないよ!」
「そうか。じゃあ、ルディーンはお父さんと同じ、狩人になるんだな?」
「うん! 僕、村で一番のすっごい狩人になるんだ!」
そう言うと、お父さんはすっごく嬉しそうな顔になって、僕の頭をがしがしと力を入れてなでてくれたんだ。
前回がまじめな話になったと思ったら、今回は親馬鹿の話になってしまったw
因みにルディーン君は大聖堂でのお祈りの金額に驚いてましたが、この家族が稼いでるお金を考えるとハンスお父さんが言う通り、せっかく家族で来たんだからこの程度けちる必要はないと考えてもおかしくはないですよね。
そしてないより、ルディーン君の収入を考えたら(苦笑
まぁ、どれだえ自分が稼いでるのかなんて知らないからこそ、金貨1枚にも満たない子の金額でルディーン君は驚いてるんですけどね。